パワーゲートの能力の話。

トラックのパワーゲート。

一般に1~1.5t車だとパワーゲート付いていても400kgくらいが多いかな?

2t車だと600kgが多い気がする。

もちろん架装次第だからお金を出せば1.5t車に能力1000kgのパワーゲートを付けることだって可能だけど…そんな架装をする例は稀で中古で出てくるわけもないし…出てきたとしてもクソ高い!

 

350~400kgもアレばバイクなら余裕じゃん!

って思うかもしれないけど…実は全然余裕じゃないのよ。

パワーゲートに貼ってあるシールを見るとこんな感じ。

こんな感じで600kgのフルパワーが出せるのはパワーゲートの柱から35cmの地点…

そこから距離が離れるとどんどんパワーは落ちていく…

ウチのパワーゲートは出来るだけ直進状態でバイクを乗せるために本来100cmのパワーゲートを210cmまで延長している…

 

バイクの重心はだいたいど真ん中として…

パワーゲートの延長部分よりも少し後ろ部分が重心の真ん中だとして…

100~110cm地点に重心の中央が来る…ってことは…

本来メーカーが許容する能力は200kg未満。

更に延長したパワーゲート自体の重さがそれよりも後ろに50kgくらいはかかっているので…

計算するまでもなく完全に能力オーバー\(^o^)/

 

実際のところはメーカーの許容値はかなり余裕を持っていてオーバーしてても余裕で持ち上げてくれる…

実際、FXDL(300kgくらい?)をこないだも運んだけど余裕で持ち上げてくれたから安心してたんだけど…

 

レッカー依頼でFLSTC(340kgオーバー?)を運ぼうとしたところ…上がらない!

ブレーキをロックして自分がゲートから降りても…同じところで止まる^^;

見た目が間抜けだからやりたくなかったけど…

人力で少しゲートの先端を持ち上げてやるとすぐに上まで上がった…

ゲート延長してるからこそ先端を少し持ち上げるダケでかなり荷重が抜けて上がるんだよね…

とりあえず積み込み完了で店へ戻る。

 

重量級車両があるうちに実車を載せながら対策を検討。

ゲートの柱は2段階になってるけど…1段目は100cmくらいのスパンで荷重を受けているけど…2段目は40cmくらいの短いスパンで荷重を受けているからローラーに負荷がかかって動かなくなっちゃうみたい。

途中まではスムーズに持ち上がるのに突然引っかかる理由は納得。

 

とりあえず直ぐに出来る事…って事で二段目のローラー周りを清掃して潤滑。

ローラーの外に樹脂が付いているんだけど…樹脂がボロボロで見るからに回転抵抗になってそうなので発注。

また今度、重量級車両が入るまでに交換しておく事に。

新品ローラーでもダメなら樹脂部分なしのベアリング直で動くようにしちゃえばだいぶ動きはスムーズになるだろうけど…

きっとガイド側の摩耗が進んじゃうよな~^^;

 

清掃と潤滑でとりあえず車両単体では上まで持ち上がるようになった。

でも、自分が乗って支えながらだとやっぱり上がりきらない。

自分の体重が65くらいだから…まぁ車両と合わせれば400キロくらいあるか…能力オーバーとか言うレベルじゃないな^^;

 

しかし…動力は油圧…

油圧さえ強化すればどうにでもなるはず!?

リフトが上がらないだけで自分が乗り降りして振動や力が加わっても下がっていく事はないから圧力の保持に問題があるわけじゃない…最悪ポンプが壊れても油圧配管が爆ぜたりしない限りは落下する事はまずない。

 

って事で中古でもっと大型のパワーゲートのパワーパックを物色。

とりあえず5万くらいで能力の高い物が手に入りそう…

でもまだ動いているのに…5万は高いな^^;

 

そもそも、モーターのパワーが限界でそれ以上油圧が上がらないのか?

それとも、ポンプの能力が限界で圧力が逃げてしまっているのか?

もしくは…パワーパック自体にリミッターが設けられているのか?

 

とりあえずリフトが上がらない時のモーター音を確認。

どうやら、リフトが上がりきってストッパーに当たった時と同じ音がしている…

リフトがストッパーに当たる度にモーターやポンプが限界になるような構造だとすぐに壊れるからありえない…

 

ってことはパワーパック自体に油圧の上限が設定されてるって事だな!

油圧が上限まで上がったときにモーターが止まらないって事は電気的ではなく機械的に油圧を逃しているはずだから…どっかにリリーフバルブがあるはずだ!

って事でパワーパックのカバーを開けると…

明らかにそれっぽい物があった!(写真は使い回し)

上側は配管の位置からしてゲートの下降速度を調整するバルブだと思う。

最初の調整位置をまず覚えて…試しに緩めてパワーゲートを上下に動かす…

明らかにストッパーに当たったときのモーター音が軽く!

下降速度は変化なしだからリリーフバルブで間違いない。

あとはパワーゲートがストッパーに当たる位置でのモーター音を確認しながらモーターが唸りすぎて短時間で焼けない程度の負荷(勘)まで締め込んで…

 

FLSTCを積み込んで自分も乗り込みながら上昇テスト!

自分も乗り込んだままでもちゃんと持ち上がるようになった!

ちょっとモーターは唸るけど…唸ってる時間は5秒くらいだし、音的には多分大丈夫だと思う…

もし壊れた時は別のパワーユニット手に入れるとして…最大負荷で使うことなんてほぼ無いだろうから当分はこのままで使えるかな?

気休めでモーターにフィンでも貼り付けておこうかな?w

どっかにPTO油圧一式転がってないかな!

エンジンかけながらしか使えなくなるけど…PTOならモーターの心配なんてなくなるのになぁ~

 

自分が乗り込まなければ400kgコースが持ち上がる事は確認できたし…とりあえず殆どの車種を対応できるかな?

 

あとは少しでも負荷をへらすためにローラーが入荷したら直ぐに交換だ!

※この作業はあくまでも自己責任で…高額な油圧パワーパックの寿命を間違いなく縮める作業なので…何が起きても知りません!

 

ちなみに…350kgとか400kgのパワーゲートでバイクを運ぶ場合は…

(画像は拾い物)

こんな感じに横向きにパワーゲートを延長してやれば柱からの距離が離れないから能力がそこまで落ち込まなくてバイクが持ち上げれたりする。

600kgゲートで横向き延長にすれば、重量的にはほぼバイクなら全て持ち上がるだろうけど…

そもそも、ワイドな車種はこの狭いスペースで切り替えして向きを帰るのが困難だったりするからアメリカン系とスクーター系はつらい…

パワーゲートの上で切り返しが多く必要だったり…パニアが付いていたりすると切り返しが困難だったり…

ちょっと取扱にコツが必要になる。(前の職場でこのタイプの1.5t車を使ったことがある。)

 

ちなみに、1ナンバーの維持費なんて屁でもないぜ!ってなら絶対ワイド車がオススメ。

同じパワーゲート能力でもゲートワイドになるから車両を斜めに置くことが出来るから柱に接近できてパワーに余裕が出るからね!

 

あと、支柱が長いタイプのパワーゲートは短いタイプと比べてゲートを伸ばしたときの能力減少が少ないから出物があれば…

(支柱が長いゲートはトラックメーカーの設定じゃなく架装屋で付けてもらってるのが殆どだと思うけど…)

 

パワーゲート車購入検討中にバイク屋さんは参考にどうぞw